SSブログ

Movies【ゲキ×シネ蛮幽鬼】 [Movies]

舞台を観に行った回数も少なければ、
ゲキ×シネ自体も初めてだった。

舞台のDVDは観たことがあるので、
それの延長なのか?などと、
素人考えも甚だしい状況で観に行ったら。

想像以上の衝撃で、
客電がついてもなかなか立ち上がれなかった。
舞台で、これを毎日繰り返していたのかと思うと、
頭の下がる思いがした。

復讐のためだけに生きる土門と、
人を殺すためだけに生きる、サジと名乗る男。

無実の罪で、異国の地の監獄に幽閉された土門が、
監獄島の奥で出会った謎の殺し屋サジと共に、
自分を陥れた者への復讐に燃え、
やがて、本来の目的をも見失い、
破滅の道をたどり始める。

ただ、
最後に踏みとどまれたのは、
「守らねばならぬもの」の存在。
自分の復讐のために利用するつもりだった「仲間」が、
自分を守るためにその命を投げ出した。
その涙が復讐の火を消し、
「守らねばならぬもの」を浮かび上がらせた。

一方のサジはどうだろう。
舞台の途中から、
「サジは死にたがっているんじゃないか」と
思うようになっていた。
殺し屋として生きることを強いられてきたから、
「自分が死ぬ」という選択肢は元から用意されておらず、
戦いの中で命を絶ちたくても、
自分を殺してくれる相手が見つからない。

土門との最後の死闘で、
一瞬見え隠れした、サジの狼狽の表情が、
諦めるしかなかった孤独から解放される安堵の表情に似ていた。

もう一度観てみたい気もするが、
私はこの一回の鑑賞で満足することにする。

ファンの間では、
観に行った回数を競っているような節があるが、
肝心なのは観に行った回数ではなく、
そこから何を持ち帰ってきたか、だろう。

果拿の国へ留学した4人の若者が持ち帰ったものと、
ゲキ×シネを観終わった自分の手に残ったものの、
同じ部分と異なる部分と。
それをじっくりと考える時間も、
少しはあっていいんじゃないだろうか。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

Movies【ちょんまげぷりん】 [Movies]

草食系男子が悪いわけではないし、
子育てをしながら働く女性が良くないわけでもないけど、
合理的になり過ぎて、
手間を掛けない代わりに心配りも少なくなって、
信念と我儘をはき違えて。

そんな中、時空を超えて翔んできた侍一人。
凛とした佇まい、
面倒なことを面倒がらずに淡々とこなす生真面目さ、
そして自分のためではなく人のための「お役目」。

世の中が便利になるにつれ、
スピードと順応性を要求されるにつれ、
人と向き合うことも、
子どもを叱ることも、
協力して生きていくってことも、
何だか適当になっちゃって。

何処か余裕が無くなってきていて。

そんな世の中に、
声高に「否」を唱えるでもないけれど、
背中で、佇まいで正しい方向を指し示す。

男であれ女であれ、
日本人が何処かで忘れてしまっていることを、
木島さんが見せてくれた気がした。

胸がすかっとする映画であり、
心が温かくなる映画でもあり、
手元に置いて繰り返したい映画だと思った。

ところで、
「180年前からタイムスリップしてきた侍が、
たかだか数日で現代社会に順応出来るわけが無い!」
というレビューがあった。
そのせいなのか、かなりの低評価だったが、
仮に順応するまでの葛藤を描いたら、
この人は「だらだらと長いんじゃ!」って怒りそうだ。

単なる、って言ったら失礼だろうが、
娯楽映画に過ぎないのだから、
史実がどうしたとか時系列の端折りだとか、
間違い探しに1800円も出す人の、
気がしれないんだけど(笑)

だって、これ、お伽噺だもの。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

Movies【さんかく】 [Movies]

ラブコメディなのかと思って観に行った。

確かに、
登場人物のひとりひとりは、笑える。
三十路にもなって、
未だに「ガキ大将」を引きずる、自意識過剰オトコの百瀬、
お人好しで単純でややこしい佳代、
小悪魔より奔放で無責任な桃。
それぞれを切り離してみれば、
それなりに面白いキャラクターなのに、
彼らが絡まった途端に、
どうしてこうも、痛い展開になるのだろう。





ネタバレなので、続きを読む方はこちら。


nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:映画

Movies【春との旅】 [Movies]

この映画は、
誰に感情移入するかで、
その意味合いが大きく変わってくると思う。

老いと孤独と人生の終焉をひしひしと感じながらも、
誰かに頼らないと生きていけない忠男、
そんな忠男を疎ましく思いながらも、
それでもたった一人の肉親を思う春。

自分の身の置き場を探す旅がいつしか、
夢を追い続けて家族を犠牲にした過ちを、
嫌というほど思い知らされ、
それぞれの事情を痛いほど感じているから、
悪態つきながらも惜別するしかなくて。

忠男は春と旅に出たけれど、
本当はこういう結末になることを
知っていたのかもしれない。
分かっていてもなお、
誰かに縋らないと生きられない、
そんな心細さや哀しみが痛いほど伝わって、
中盤からはずっと泣きっぱなしだった。

これは映画だけれど、
決して「架空のお話」ではない。
多かれ少なかれ、
誰の身にも起こることであり、
ゆっくりと覚悟をしながら、
この先を、
歩いていかねばならないのだ。

人生の終焉に向かって。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

Movies【川の底からこんにちは】 [Movies]

「大きくなったら○○になりたい」なんて、
大きくなっちゃった今ではそんな目標もないし、
「頑張ればきっと良い事があるよ」って言われても、
テストの点数みたいに分かりやすい合格ラインもない。

人生にそんなにあからさまな分岐点も無かったし、
劇的なハプニングなんて、
大抵悪い方向に話が加速する前兆だった。

劇中の佐和子みたいに。

冒頭の、なんていうんだろう、この、
やる気の無さというか、
なんもかんも裏目に出てるのに、
裏がどっちかも分かってないような
そんな佐和子の脱力感に、
前半は本気でイライラしたけど(笑)

「でも、しょうがないですよね」
冒頭で佐和子が繰り返し使う科白。

頑張っても、
どうにもならないことくらい、知ってる。

ただ、それまでの佐和子は、
その後に続く言葉を知らなかった。
そこで終わっていた。

あることがきっかけで、
その後に続く言葉を見つけるのだが、
その見つけ方が何とも、
「……はあ?」と言いたくなる部分で(笑)

なんだろう。
何かが吹っ切れた人って、
なんで、こうも潔くて力強いんだろう。
やると決めたら一直線で、
それがちょっと滑稽で涙が出るくらい可笑しくて。

そもそも『サクセスストーリー』なんつーもんも、
後から振り返ればそんな気がするだけで、
その渦中で揉まれているときは、
そんなことを考えてる余裕すら無いんだもんね。

まあ。
しょうがないよね。
しょうがないから、頑張るしかないんだよね。

下手に励まされるより、
ずっと胸に響く言葉かも。

いい、映画だったな。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

Movies【コトバのない冬】 [Movies]

言葉って、
声に出すか紙に書くかで、
相手に伝えられるものだけれども、
「コミュニケーション」という面では、
やはり声に出して伝えるのが大切なこと。

でも、
声が出るか出ないか、
声が聞けるか聞けないか、
声になるかならないかも、
やはり重要なことだったりする。

ほんの些細な偶然で、
出会うことになった冬沙子と門倉。
常に言葉を発することが出来ない門倉と、
常に誰かの言葉を待っている冬沙子は、
人気のない冬の遊園地で、
少しずつ「コトバ」を交わし合う。

門倉と冬沙子には、
共に「コトバ」をかけてくれる人が居た。
「気遣う」というコトバと、
「和ませる」というコトバを、
煩いくらい自在に投げてくれる優しい人たち。

でも、
誰よりも先に聴きたい筈の、
真っ先に聴かせたい筈の「コトバ」を、
最後まで聴くことのないまま、
ある「事件」が起こってしまう。

2人以外に2人の関係を知るものも居ない。
「出会っていた」ことを、
本人たち以外に、知る人が居ない。

あの日、確かに心が通っていたのに、
コトバを伝える術を知らない門倉と、
コトバを伝える相手を忘れた冬沙子。

呆気なく終わってしまう物語。

これを物足りないと感じるか、
雄弁だと受け取るか、
上映後のトークショーでも、
渡部篤郎監督は何も語ろうとしなかった。
それは観る人がそれぞれ感じればいいことであって、
「感動した」のも「つまらない」のも、
「伝わった」のも「わけがわからない」のも、
それぞれが、それぞれの、コトバ。

コトバは、伝えたいときに伝えられるように、
いつも手のひらで温めておかなくちゃ
いけないのかもしれない。

大切な人が、遠くに消える前に。
大切な人が、忘れてしまわないうちに。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

Movies【半分の月がのぼる空】 [Movies]

元々「病気ネタ」の映画は苦手だった。
いずれ死んでしまうのは、
遅かれ早かれ誰にでも起こることなのに、
「余命幾ばくもない」ことを、そんなに劇的に扱って、
それで「泣け」と言われても困る。

最初から「病ありき」で話が展開するのも、
その割にはヒロインの肌が艶やかなのも、
どうも嘘っぽくて感情移入出来ない。

なので、
上映開始は知っていたけれど、
観に行こうかどうか、最後まで悩んでいた。




ちょっとネタバレっぽいので、続きを読むならぽちっとな。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

Movies【オーケストラ!】 [Movies]

観たい映画リストに入れていた頃に、
何気なく観ていたレビューが賛否分かれていたのが、
少し気がかりだった。

ただ、
「否」に対しての賛同が極端に少なかったので、
それを信用して観に行くことにした。

冒頭から怒鳴っているようなロシア語に圧倒され、
救急車(しかもボロい)を自家用車代わりにし、
かつての楽団員が30年の時を経てもなお、
現役さながらのテクニックを維持し、
都合良く偽ビザも配られ、
こんなにオオゴトなのにぎりぎりまで誰にもバレず。

わー、都合良く出来てんなあと、
最初こそ若干白けてしまったものの、
大方の予想を裏切ることなく、
本当に都合の良いまま、クライマックスに雪崩れ込む。

冒頭の「否」の大半は、
やはりどうしても「都合が良すぎる」ことで、
「指揮や演奏の演技がダメ」とか、
「のだめのほうがマトモ」なんて意見が多くて、
まあ確かに、
日本に居る限りは人種差別も強制所も歴史も、
どうしても身近に感じられないので、
なかなか共感しにくいのかもしれない。

ただ、
この映画の本質は、
そんな浅いものではなく、
もっと深いところに根付いていて、
それこそ、この映画の冒頭のように、
最初こそ不協和音でがっかりするような出だしでも、
一人の女神の姿に導かれ、
それぞれが心に秘めていた30年前の「傷」を、
美しい旋律に乗せて浄化させていく、
そこに感動して涙が溢れるんじゃないだろうか。

私は、この映画、好きだ。
nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:映画

Movies【かずら】 [Movies]

家系から言えば、
どうやらうちも薄毛の家系だ。
年齢的な理由を除いても、遺影は似たよなアタマだし、
祖父と父の遺影に限って言えば、
シャッフルされたら瞬時には答えにくいほど、酷似している。

自分がオンナで良かったことなど、
片手でも余るくらいしかないが、
自分がオトコじゃなくて良かったことだけは、確実に1点だけ、あったりする。

生まれつきだとか遺伝だとか、
身も蓋も無い理由のために、
たった一度の人生を謳歌出来ないなんて、
あまりに理不尽。

これが女の人だったら、
パッド入れるとか補正下着とか化粧とか、
おおっぴらに修正可能なんだけど(笑)
いやはや、男の人の悩みって、
なんでこんなに深刻で、ちょっと笑えちゃうんでしょね。

や、本人は深刻なんだから、
笑っちゃいけないんでしょうけど(笑)

芝居なんだかコントなんだか、
その辺の線引きもそんなにはっきり分けなくてもよかったし、
最初は笑っていいのか微妙だったネタも、
後半からはケラケラ笑ってみていられたし、
もう一回観たら、
ツッコめる小ネタがまだまだたくさん散りばめられていそうだし。

ただ、仙台では今週いっぱいらしいけど。

時間つぶしに観た割に、
とても温かい気持ちになれたいい映画だった。
ただ「面白かったよ」って勧める場合は、
人を選んだほうがいいのかも知れないと思っているうちは、
私もまだまだ他人のコンプレックスに関して、
過敏になってしまっているのかも(笑)

帰り道ですれ違う男性に対して、
どうしても目線が上に行ってしまったので(笑)
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

Movies【シャーロック・ホームズ(吹替版)】 [Movies]

所用で出かけたのに、結局その所用が無駄足になってしまったので、
こりゃ、映画の1本でも観て帰らにゃ収まりが付かないなあと思い、
そのシネコンに到着して一番近い時間に上映が始まる映画を探したら。

字幕版にしたかったけど、
それだと1時間待たなくちゃならなかったし、
まあ、吹替版のほうが、よりストーリーに入り込めるかな?と思ったら。

予想以上にのめり込めました(笑)
面白かった♪

あんなに有名な物語でありながら、
実際、きちんと原作を読んだことがなくて、
ホームズとワトソンについて、明確なイメージが無かったのも良かったのか、
ただのサスペンスではない、コミカルでテンポのよい会話と展開、
一瞬にして変わる時間軸に多少戸惑いつつも、その切り替えもまた小気味良かったり。

私にとっては聴き慣れない吹替えの声も、
イメージが固定されなくて良かったし、
このコンビ、もっと他の事件でも観てみたいかも。

今度は字幕版で観てみるか。
nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:映画