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Movies【つむじ風食堂の夜】 [Movies]

子供のころは、何処にでも行けた気がするんだけど、
それはあくまで気のせいで。

いつのころからか、
そこに留まって、何かに追われて、
違うところに行きたいのに、そこに行けなくて。

いつの間にか、
ここが何処なのかも、
自分がなんなのかも、
確かめる術を忘れてしまって。

そんなときに、不意に消えてしまった父親。
理想だったのに。

いや。
消えてしまえるのが理想だったのか。
ここじゃない、何処か遠くへ、
ぽんと旅立てた父親が。

ただ。
何気ない毎日でも、
1ミリも動いていないような毎日でも、
少しずつ、何かが変わっていることは確かで、
それが自分の思い通りじゃなくても、
想像とは違っていても、
いつか振り返ったときに、
笑って前に進めるんじゃないか。

そういうことなのかな。
ね、お父さん。
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Movies【ゴールデンスランバー】 [Movies]

イメージ。

真実は違うところにあるのに、
「もしかしたら、そうなのかも」と思うイメージ。
今まで想像していたことと大きく印象が違ったときに、
「もしかしたら、そうなのかも」と思う、イメージ。

イメージという名の、洗脳というべきか。



ネタバレっぽくなるので・・・続きはこちらをぽちっとな


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Movies【人間失格 ディレクターズカット版】 [Movies]

これに関しては、
揺るぎない原作があって、
多少、現代的な雰囲気を保ちつつ、
不条理感や遣る瀬無さが、
余韻となって、後々まで残ってくる、
そんな映画だった。

穏やかに話すときの、
やや湿った感じのする堺雅人さんの声が、
自分がナニモノか分らずに、生きる意味も見出せずに、
もがきながら堕ちてゆく葉蔵に、よく合っていたと思う。

確か、学生の頃に読んだ気がするのだが、
やけに暗い話だと思って、
何となく途中で、読むのを止めてしまっていた。

今なら、最後まで読めるかもしれないと思い、
映画が終わってから文庫本を買ってみた。

アニメと違って、
表現が露骨になる部分があるが、
それでも、今なら、読めるかもしれない。
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Movies【パイレーツ・ロック】 [Movies]

舞台は1960年代のイギリス。
「下水のような音楽」を流すことを1日45分に制限する政府と、
海上で24時間、ロックを流し続ける「海賊たち」の攻防戦。

といえば少し聞こえはいいけど、
実際のところは、そんなに深い意味や真意などなく、
あえて言うなら。

「ロックンロール!」

な、わけで。

下品だとか、下世話だとか、
意味わからんとか、
そんなレビューなんかクソくらえ(失礼)

全神経を耳に集中させ、
全てを解放させるイカした音楽と、
それを素敵なタイミングで聴かせてくれるDJに酔い痴れた、
あのゾクゾクするよな時間を、
初恋も失恋もイケナイことも、
大人が眉間にシワを寄せるよな際どいことも、
全てを教えてくれたあの瞬間を。

たかが音楽。
でも、その音楽に涙したり、その音楽で心踊ったり、
そんな瞬間、誰にでも、あったはず。

だからこそ、あの時代の音楽が、
ゾクゾクするよな快感とともに、
今でも胸に響いてくるのだ。

これは痛快なまでの娯楽映画。
だったら、ぐだぐだ細かいこと言わんと、
立ち上がって身体を揺らしてしまえば、
それで、いいのと、違う?

でも、映画館ではやらんでね。
迷惑だから(笑)
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Movies【風が強く吹いている】 [Movies]

初めは、観ないつもりだった。

『かっこいい人たちがかっこよく走るだけの映画』
そんな勝手な先入観を持っていて、
「○○くん、かっこいい♪」以外に何の感想も無いのは、
なんか、嫌だと、思っていた。

それは大きな間違いだった。

原作があまりにベストセラーだと、
それを映像化したときに妙な違和感を覚える人たちがいて、
結果『原作のほうが良かった』なんていう、
身も蓋もないレビューが多い。

ただ、これは違っていた。
私と同じように、若干の偏見を持っていた人たちが、
『観て良かった』と締めているレビューを読んで、
「これは、観ずに終わったら後悔するんじゃないか」と思った。

それは間違いじゃなかった。

ただ走るだけじゃない。
ただ速く走ればいいだけ、じゃない。
長い人生のうちの、たった4年のうちの、
たった2日間のうちの、たった1区間を走るために、
何を信じ、誰を信じ、
何を犠牲にして、代わりに何を得るのか。

義兄の影響でここ数年、
箱根駅伝の往路と復路を見ているけれど、
彼らにも、こんな葛藤や挫折や至福を繰り返しながら、
自分を信じ仲間を信じて、
ひたすらに襷をつなぐために走っているのだろう。

来年の箱根駅伝は、
これまでとは違った印象で見られるかもしれない。

今までは、
お目当ての俳優さんが主演のヤツじゃないと
要らないなと思っていたDVDだけど、
これは、メイキングも観てみたいと、本当に思った。

いい映画だった。
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Movies【曲がれ!スプーン】 [Movies]

とある喫茶店に集まった、
超能力者たちのどたばたコメディー。

だと思っていた。

けど、主役はエスパー集団ではなく、
その集団に徹底的に翻弄される、わけでもなく。

なんだか、中途半端に終わってしまった感、8割。

いっそのこと、
喫茶店の中だけで話が全部終わるようにしたほうが、
エスパー集団の悲喜交々がより濃密になった気が。

ってか。
『UDON』と『サマータイムマシンブルース』の小ネタ、
散りばめ過ぎ(笑)
そこでくすくす笑ってる隙に、
本編が終わってしまった、このあっさり感。

とはいえ。
胡散臭いモノや少数派に対して笑い飛ばしてしまうことで、
自分をその他大勢に埋もれさせることが今を生き抜く術だけど、
案外心の底ではそんな特別や特殊に憧れていて、
だからこそ、人はいつまで経っても、
前を向いて歩いていけるのかもしれない。

という落としドコロで、いかがでしょ(笑)
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Movies【クヒオ大佐】 [Movies]

大抵映画を観るときは、
登場人物の誰かに感情移入していることが多く、
たとえそれが特定されていなくても、
ストーリーに惹き込まれていることも多くて。

ただ、その入り込もうとしている最中に、
するりと矛先を変えられたり、
さっきとは違う意図を見せられたりすると、
そのたびに、すっと気持ちが醒めてしまい、
余計なことばかり考えてしまう。

タケモトタケオ(クヒオの本当の名前)が、
不遇な子供時代を経て大人になり、
あの時逆らえなかった父親への恐怖や、
暴力に耐え続ける母親への哀れみを拭い切れないまま、
女性を騙して利用するというより、
そこに自分を映して、それでようやく存在価値を見出すような、
恐らくそういうことを描きたかったのだと思うけれど。

なんだろう。
描きたい人物像がうっすら浮かぶたびに、
「そっちじゃなくて」と引き戻される感じが終始して、
「……どうしろと?」っていうモヤモヤが、
最後まで拭いきれなかった。

それでいて、エンディングがクレイジーバンド。
エンドロールで苦笑いしちゃったのは、
この映画が初めてかも(笑)

堺さんがインタビューで仰っていた通り、
この映画は生命力に溢れたオンナと、
空っぽなオトコの物語だった。

ただ、もうちょっと、何とかなったんじゃないかと、
そこが少し残念な感じだった。
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Movies【サイドウェイズ】 [Movies]

ハリウッド映画に出てくる日本人は、
日本人の性質を3割くらい誇張したような、
生粋の日本人からするとちょっと違和感があるような、
そんなキャラクターが多い気がする。

そして、日本人ではない人が、
「日本人ってこうだよね?」って聞いてきたことは、
大抵、なんかちょっと、違っていたりする。

最初は、すんなりと入りこめた。
慎重になるあまり叩き過ぎた石橋が壊れ、
向こう側に渡れなくて途方に暮れる道雄と、
ありとあらゆる飛び道具を使って、
へらへらあっさり向こう側に渡っちゃう大介が、
過去形であるマユコと、未来形であるミナに出会い、
今現在の足元を見直して何処に進むべきかを見出してゆく、
そんな、大人の映画のようだった。

ところが。
途中から「なんで?」ってキモチが湧いてきた。
幾らお人好しな日本人でも、
出て行った同棲相手を1年も待っていることはないし、
まして怪我の手当をしてあげると向かった先で、
何であのプレイに走らねばならんのだ?

多少、コメディタッチにしたいための、
あのシーンだったんだろうけど、
少なくとも、日本人の私はアレでは笑えなかった。
それよりも大介の豪快なテキトーっぷりや、
ミナの残念な誤変換のほうがくすりと笑えたし、
道雄が時折書き留める言葉のひとつひとつが、
何よりも響いてくる瞬間もあっただけに、
何だか、ちょっと残念な気がした。

ちょっと、期待し過ぎちゃったのかな。
俳優さんたちはうまいこと頑張ってたと思うけど、
観客がそんなことを思っちゃった時点で、
やっぱりちょっと、残念だったのかな。

無理に作った居場所にしがみつくのではなく、
行けばそこが居場所になるのだ。
もし居場所が無いと感じたのなら、
僕が君の居場所になろう。

あまり重く考える映画ではないのかもしれない。
行き詰ったらまわり道もいいよって、
そのくらいの軽やかさでもう一度観るのも、いいかも。
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Movies【マイケル・ジャクソン THIS IS IT】 [Movies]

まだオーディションに受かってもいないのに、
「彼と踊るのが夢だったんです」と涙ぐむダンサーたち。
彼の作品のピースになれるのなら、
その命を差し出すことも厭わない、そんな気迫さえ感じる涙。
感極まるものがあるのだろう。

私は別に彼の崇拝者ではない。
ファンと呼ばれるほどの知識もないし、
完全にその他大勢の一人。
でも、映画を観ている間は、ずっと泣いていた気がする。

マザーテレサのドキュメンタリー映画を観ていた時もそうだった。
泣きたいわけじゃないのに泣きたくなる。
そこに奇跡を見ているような。
まるで、神を仰いでいるような。

何故世界中が彼に熱狂したのか。
彼を突き動かしたものは何なのか。

リハーサルの途中で彼が思いついたアイデアを、
瞬時に叶える旧知のスタッフたち。
彼のために、彼の思い描く夢のために。

あんなに多くの人々を熱狂させるのは、
彼の才能やセンスはもちろんのこと、
決して妥協しないリハーサルと、
共に夢のステージを作り上げるスタッフやバンドメンバー、
バックダンサーに対する敬意や謙虚な気持ちが、
人々を惹きつけてやまないのだろう。

私は、彼という人を誤解していた気がする。
誰よりも純粋に理想を追い求め、
誰よりも真摯に愛を求めていた人だったと、
何となく、そう思える。

彼は、余韻を楽しんでいただろうか。
観客をじらすつもりで、そのまま消えてしまったけれど、
私たちは余韻を味わう余裕もなく、
彼が遺した「愛」を、何処まで忠実に再現できるのか、
大きな宿題を渡された気がした。
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Movies【空気人形】 [Movies]

人は生まれながらに「心」を持っているわけではないと思う。
「物心がつく」という表現があるように、
人も何かの拍子に「心」を持ち、
持ってしまった心のために喜びや哀しみを知り、
自分がナニモノなのかを模索し始めていく。

性処理の代用品でしか無かった空気人形が、
ある日突然、心を持ってしまう。
朝日にきらめく雨の滴をきれいだと思い、
無邪気な子供の列を微笑ましく思い、
そして、憂いを含んだ瞳の青年に恋をした。

心は持ったけど体温は持たない空気人形。
季節は冬なのに、軽やかな服装で街を歩き始める。
彼女とすれ違う人間たちも、
それぞれに「空っぽな心」を持て余し、
自分はナニモノであるか?を模索している。

好きでもない男と寝ることに嫌悪感を覚え、
愛しい男に衣服を捲られることに恥じらいを覚え、
その男の息で自分が満たされることに喜びを覚え、
でも、自分が「代用品」でしかないことを思い知らされ。

それでも。
愛しい男に何かしてあげたい。
そう思った無邪気な「心」が生んでしまった悲劇。
自分と同じ、空っぽなんだと言っていたのに、
自分にしてくれたことと同じことをしても、
彼を満たすことは出来なかった。

それでも、悲劇に映らないのは、
心をもった空気人形がそう思ったように、
何かの拍子に誰かの「心」が息を吹き返したから。

季節が冬から春になって、
風に乗った蒲公英の綿毛が静かに根付くように、
自分の中にある「心」が呼吸を始める。
やわらかな空気で満たされながら。

やさしい「心」の、向かうままに。
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