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Movies【空気人形】 [Movies]

人は生まれながらに「心」を持っているわけではないと思う。
「物心がつく」という表現があるように、
人も何かの拍子に「心」を持ち、
持ってしまった心のために喜びや哀しみを知り、
自分がナニモノなのかを模索し始めていく。

性処理の代用品でしか無かった空気人形が、
ある日突然、心を持ってしまう。
朝日にきらめく雨の滴をきれいだと思い、
無邪気な子供の列を微笑ましく思い、
そして、憂いを含んだ瞳の青年に恋をした。

心は持ったけど体温は持たない空気人形。
季節は冬なのに、軽やかな服装で街を歩き始める。
彼女とすれ違う人間たちも、
それぞれに「空っぽな心」を持て余し、
自分はナニモノであるか?を模索している。

好きでもない男と寝ることに嫌悪感を覚え、
愛しい男に衣服を捲られることに恥じらいを覚え、
その男の息で自分が満たされることに喜びを覚え、
でも、自分が「代用品」でしかないことを思い知らされ。

それでも。
愛しい男に何かしてあげたい。
そう思った無邪気な「心」が生んでしまった悲劇。
自分と同じ、空っぽなんだと言っていたのに、
自分にしてくれたことと同じことをしても、
彼を満たすことは出来なかった。

それでも、悲劇に映らないのは、
心をもった空気人形がそう思ったように、
何かの拍子に誰かの「心」が息を吹き返したから。

季節が冬から春になって、
風に乗った蒲公英の綿毛が静かに根付くように、
自分の中にある「心」が呼吸を始める。
やわらかな空気で満たされながら。

やさしい「心」の、向かうままに。
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