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Movies【ゴールデンスランバー】 [Movies]

イメージ。

真実は違うところにあるのに、
「もしかしたら、そうなのかも」と思うイメージ。
今まで想像していたことと大きく印象が違ったときに、
「もしかしたら、そうなのかも」と思う、イメージ。

イメージという名の、洗脳というべきか。





人が良すぎて、おおよそ人を憎むとか縁遠い、
宅配ドライバーの青柳。
青柳を演じた堺雅人さんは、
彼を「良くも悪くも健やかな人」と分析していた。
私は何となく、映画を観ながら、
「生命力が薄い人だな」と思っていた。

いい人なんだけど、
本当にいい人だと思うんだけど、
それで、終わっちゃうよな。

「よくできました」で終わるよな。

そんな彼が、無実の罪で追われる。
しかも、一国の首相暗殺という濡れ衣で。

その直前、親友の森田の言葉、
「無様な姿晒してもいいから逃げて、生きろ」
その言葉が無かったら、
「いい人」である青柳は、
直ぐに投降して無実を訴えていたかもしれない。
そして、その訴えは、
メディアが作り出すイメージによって簡単に捻じ曲げられ、
仕立て上げられ、闇に葬られ。

森田や小梅や、替え玉みたいに。

親友の「生きろ」という決死の遺言が、
さらに「人間の最大の武器は習慣と信頼」という言葉が、
「いい人でしかなかった」青柳の胸に突き刺さり、
ようやく彼は「生きる」ことに執着し始める。

ただ、
今までの居場所にはもう居られないけれど、
あの頃にも戻れないけれど、
「今歩いているこの道がいつか懐かしくなるはず」と信じて。

そういえば。
この映画のラストがあれでいいのか、
という疑問の声をよく聞く。
「正義はどうした」という声もよく聞く。
アメリカの映画だったら、
ど派手などんでん返しもあったんだろうけど、
所詮、一介の個人が、組織と対等に闘えるはずもなく、
仮に闘えたところで所詮イメージにかき消されるだろう。

それでも、生きていくしかないのなら、
こういう選択肢もあるんじゃないかと思う。

私にそれが出来るかわからないけれど、
「人間の最大の武器」を信じて、それでも。

久しぶりに、
何も考えずにすっきりと観終わる映画を観た気がする。
上映中に、あと2回くらい、観に行こうかな。
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