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Movies【コトバのない冬】 [Movies]

言葉って、
声に出すか紙に書くかで、
相手に伝えられるものだけれども、
「コミュニケーション」という面では、
やはり声に出して伝えるのが大切なこと。

でも、
声が出るか出ないか、
声が聞けるか聞けないか、
声になるかならないかも、
やはり重要なことだったりする。

ほんの些細な偶然で、
出会うことになった冬沙子と門倉。
常に言葉を発することが出来ない門倉と、
常に誰かの言葉を待っている冬沙子は、
人気のない冬の遊園地で、
少しずつ「コトバ」を交わし合う。

門倉と冬沙子には、
共に「コトバ」をかけてくれる人が居た。
「気遣う」というコトバと、
「和ませる」というコトバを、
煩いくらい自在に投げてくれる優しい人たち。

でも、
誰よりも先に聴きたい筈の、
真っ先に聴かせたい筈の「コトバ」を、
最後まで聴くことのないまま、
ある「事件」が起こってしまう。

2人以外に2人の関係を知るものも居ない。
「出会っていた」ことを、
本人たち以外に、知る人が居ない。

あの日、確かに心が通っていたのに、
コトバを伝える術を知らない門倉と、
コトバを伝える相手を忘れた冬沙子。

呆気なく終わってしまう物語。

これを物足りないと感じるか、
雄弁だと受け取るか、
上映後のトークショーでも、
渡部篤郎監督は何も語ろうとしなかった。
それは観る人がそれぞれ感じればいいことであって、
「感動した」のも「つまらない」のも、
「伝わった」のも「わけがわからない」のも、
それぞれが、それぞれの、コトバ。

コトバは、伝えたいときに伝えられるように、
いつも手のひらで温めておかなくちゃ
いけないのかもしれない。

大切な人が、遠くに消える前に。
大切な人が、忘れてしまわないうちに。


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