Movies【死にぞこないの青】

文明が進んで、世の中が便利になって、
人間は闇を怖がらなくなった。
闇があるなら照らせばいい。
闇に包まれる前に、照らしてしまえばいい。

でも、総てを眩しいほどに明るく照らせば、
ほんの少しの陰に言い知れぬ恐怖を感じるだろう。
そしてやがて眩しさに目が眩んで、
自分が立っているのか座っているのかもわからなくなるだろう。

大人も子供も、自分は特別と思いたいくせに、
異質な存在になるのは嫌だと思っている。
オンリーワンだと思っているのに、
その他大勢に紛れてほっとしている。

私たちは、誰しも『アオ』を背負っているのかもしれない。
「アイツキニイラナイ」「シネバイイノニ」
残虐で不気味な声無き声に、
後ろから目隠しをされてしまうのかもしれない。
その声に従ってしまえば、生きていくのはとても楽だ。
何も考えずに済むから。

そこで声を出せるか、声を出す勇気があるか。
心を捨ててしまえば楽になれると思っていたマサオが、
沸々と芽生える憎悪や嫌悪を振り払っていく過程が、
『アオ』が少しずつ呪縛から解き放たれていく姿に重なる。

飲み込まれるな。
恐れず、闘え。
自分の心を汚すな。

それは子供だけに向けられた警告ではない。
子供を恐れ、人の目を恐れ、愛することすら恐れている大人が、
一番忘れていることなのかもしれない。

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