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Movies【マザーウォーター】 [Movies]

何もない、映画。

観終わった直後にそう思う映画だった。
ただ、何も無い、からどうだというのだろう。
何かなければ、幸せも感じないというのだろうか。

私たちの日常は、退屈に満ちている。
遅刻しそうな通学路で素敵な転校生に出会うとか、
犯罪スレスレの壮絶ないじめとか、
余命わずかな最愛の恋人と無菌室で・・・とか、
そんなに波乱万丈な生き方など、送っていない。

自分を誰かに認めてもらいたいとか、
自分がナニモノなのかとか、
自分の存在意義とか唯一無二のスペシャル感とか、
若い頃はそんな感情のカタマリだったけれど、
大人になって思うことは、
「何もない」ことが実は本当に幸せで、
その日を淡々と過ごすことが一番の贅沢なのだ。

「つまんなかった」とか「眠くなった」とか、
言いたい放題のレビューを幾つか読んだけれど、
そういう人はその類の映画を選べばいいこと。
感情を揺さぶる非日常的な映画を観ればいいことだ。

これは日常を切り取った、何もない映画。
「自分はナニモノなのか」ばかりを考えたがる今の時代に、
「自分はナニモノでもない」と背筋を伸ばし、
淡々と日々を過ごすことがどれだけ贅沢なことか、
それを教えてくれる映画なのだと思う。

先のことは分からないけれど、
今日を丁寧に生きれば、それでいいのかも。

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