Diary【後出しじゃんけん】

母親と一緒に公園に遊びに来ていた子供が殺された。
そしてその犯人は、血眼になって我が子を探していた母親だった。
不可解で遣り切れない事件。

この速報が流れた途端、私たちの反応は、
「まさか、信じられない」の他に、こういうのがある。
「やっぱりね、母親が一番怪しいと思ったんだよ」。

日本人って、いつからこういう殺人事件の犯人探しを、
冷静に考えるようになったんだろう。
いかにも評論家気取りで。

確かに、あまりに状況証拠が乏しく、
第三者が手を下すには不可能なことが多かった。
だから、母親が怪しいって思うのは、それはとても自然なことかもしれない。

でも。
少なくともこういう惨い事件が起こったとき、
「別に驚かなかったよ、そうだと思ったもん」という感想は、
何処か病んでいる気がしてならない。

幼い命が殺されて、驚かなくなった日常と、
それを知っても動じなくなった私たち。

病んでいるのは、どちらだろう。