Diary【潔さ】

今月いっぱいで早期退職が決まっている、
50代半ばの男性社員。
幾ら失業手当が直ぐに支払われるとはいえ、
永遠無限に振り込まれるわけではないので、
次の就職先を探したほうが、
本人のためにも良いのではないかと思うのだが、
早期退職を言い渡されてから、
俄然やる気が出てきたようで。

自分が過去に提案してきたプロジェクトの資料を引っ張り出したり、
得意先を招いて打ち合わせを始めたり、
何とか生き残りを狙っているようなのだけれど。

でも、もう決定してるんだよね。
そのために、先月末に申し渡しているのだし、
こんな土壇場でひっくり返せるものなら、
そもそも早期退職のリストにも入っていなかっただろうし。

挙げ句、
彼の担当していた得意先を引き継いだ営業女史に対して、
「キミに任せるのは不安だ」
「あの得意先はボクじゃないとうまく進まないんだ」。

嗚呼。
今自分が置かれている状況って、
自分では分かりにくいものなのかもしれないな。
「自分にしか出来ない仕事」なんて、
本当は何処にも無いんだよ。
引き継ぐ相手がよほど無能でない限り、
きちんと次へ引き継がれるものなんだよ。

潔く身を引くのも、
大人のオトコのすることじゃないだろか。
もし貴方が有能な人材なら、
ここじゃなくても輝ける場所はあるはずなのだから。

有能な人材、ならね。