Lives【sleepy.ab～Mother Goose Tour】

入場無料のイベントは、震災後すぐにあったらしいけれど、
とても行く気にはなれなかったし、
行きたいなと思うイベントの直前に、
とても大きな余震があったので中止になったりしていた。

sleepy.abのライブも、
きっと延期か中止なんだろうなと、思っていた。
でも、ライブハウスのサイトには、「延期」も「中止」もなく、
あれ？だいじょぶなの？という思いは当日まで消えなかった。

楽しみにしていたものが、
震災と大きな余震で2度も延期や中止になるのは、
仕方ないことだとわかっていても、どうしようもなく落ち込むものだから。

客電が落ちて、メンバーが現れて、
一発目の音が響いた瞬間、
少し後ろにたじろいでしまった。

あれ。
生の音って、こんなに大きかったっけ。
音楽は、震災後もラジオで聴いていたし、
通勤時にイヤホンでも聴いていたけれど、
実際に目の前で鳴らしてくれる音の大きさが、
なんだかとても新鮮だった。

そして、じわじわと音が身体に沁みてくると、
今度は無性に泣きたくなってしまった。

私は震災時の被害はほとんどなく、
身内には亡くなった人もいないし、
多少稼働率は減ったけれど仕事はあるし、
なにより、生きていて、
でも、全然、無かったことにはならないほどの大きな爪痕が、
今もあちこちに横たわっていて、
普段通りの生活をしているつもりでも、
何処かで呆然と立ち尽くしている自分もいて。

当たり前に目が覚めて、
当たり前にご飯を食べて、
当たり前に仕事をして、
当たり前に眠れる。

そんな当たり前の延長上にある、ライブ。
それが震災後、たった1ケ月程度で見られる幸せ。

震災後、
しっかりと泣くことが出来たのは、
実はこの日が初めてだった気がする。

正直言うと、
照明のチカチカで若干クラクラしてたけど（笑）
相変わらずの浮遊感と、
ここから変わっていくんだろうなという高揚感、
それをしめすかのような熱と力強さは、
後半になるにつれて、ますます感じられたし、
この先のSleepy.abを見たい、とも思える、
とても満足できるライブだった。

グッズにサインもしてもらえたし、
久しぶりに友達にも逢えたし、
いい日だった。

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